猛暑も一段落したのでしょうか。
夏バテぎみで偏食になる人も多い季節ですね。
米を喰う気になれず、果物やジュースで済ませる。
ジュースの中の糖を補給しているので栄養補給は問題ない。
なんて人はいませんか。
日本酒を呑めば米を食べていることになる?(笑)
確かに糖は大切な栄養源です。
しかし、何から糖を摂るかが重要です。
食養生では皮をむいたり、部分を切り取ったりしない「一物全体食」が食養生の基本です。
自然界に糖質単体では存在しているものは少なく、米や芋の中に
炭水化物が含まれていて、その構成要素として糖質があります。
糖質を多く含む米をしっかりと食べるというのならお勧めしますし
それが玄米だと炭水化物以外のビタミンやミネラルも多く残っているので更に良いでしょう。
日本酒の場合、米を磨きまくって酒粕と分離され部分食なっている大吟醸より玄米どぶろくの方が良いでしょう。
私たちの体には、糖を含む複合体を消化・吸収し
さらに他の多くの要素が影響しながら糖をエネルギーに変えて活用する仕組みを持っています。
精製された糖の補給は短期結果として、ドーピングとしての効果はでます(この効果がでることにまどわされ本質を見失います)。ただ、継続した場合を長期的にみると、車や電車を知った現代人が今更、長距離の徒歩移動が困難なように。体の本来の機能が錆びつきます。
少し前まで炭水物抜きダイエットが流行っていました
(まだ流行っている?)これも、同じ視点でみていくと
糖を減らすことは大賛成ですが、糖質を多く含む米など炭水化物自体を極端に制限するのは、食養生的にはもちろんですが、現代栄養学的にも危険です。
厚生労働省は三大栄養素のそれぞれの食事摂取基準を設定しておりバランス重要性を示しています。その目標量(総エネルギーに占める割合:%エネルギー)をたんぱく質13〜20%、脂質20〜30%、炭水化物50〜65%としています。
この様に、糖質や食物繊維を含む炭水化物からのエネルギー摂取割合を半分以上にすることを勧めています。
炭水化物を控えるということは
現代栄養学に反する奇をてらった特殊なダイエット方法であるという認識が必要です。
糖質に関しては世界保健機関(WHO)が2014年3月5日、1日の摂取カロリーに砂糖などの糖類が占める割合を5%未満に抑えるよう呼びかける指針案を発表しています。算出すると、平均的な大人の場合、総摂取カロリーの5%に相当する砂糖は25グラムとなります。これは一般的な炭酸飲料1缶分に含まれている砂糖(約40グラム)よりも少ないのです。
http://www.cnn.co.jp/fringe/35044940.html
精製された糖は控えて、主食である米はしっかり食べた方がいいことは
分かっていただけたかと思います。
そして次に注意が必要なのは微量栄養素です。
現代栄養学では三大栄養素に加え、ビタミンやミネラルといった微量栄養素の存在も重要視しており、5大栄養素としてとらえてもいます。
糖質が過剰になると、単純に「栄養素が大量に入ってきて嬉しいね」とはなりません。
糖質がエネルギーに変わるときに欠かせないビタミンがあります。それはビタミンB1です。
また、糖の代謝にカルシウムが浪費されるとも言われていますが、今回はビタミンB1に注目します。
ビタミンB1は、糖質(炭水化物)や脂肪酸の代謝で消費される他、神経や筋肉の維持、皮膚や粘膜の維持に必要な栄養素です。また、アルコールの分解時にも消費されます。
いくら筋肉に糖が必要だと摂取しても体内にビタミンB1がいなければエネルギー不足は解消されません。更にビタミンB1の欠乏は「脚気」を引き起こします。
(ビタミンB1を多く含む食品として米や麦の糠や胚芽、ごま、焼き海苔、全層の蕎麦粉などがある。またにんにくの香りの成分アリシンと一緒にとるとビタミンB1の吸収率もアップします。食養生的にはお勧めしていませんが、豚ヒレ肉やタラコ、ボンレスハムにもB1は豊富です。)
清涼飲料水やインスタント食品、アルコールなどに多く含まれる糖質を分解するには、ビタミンB1が必要不可欠です。そのためこれらの食品を大量にとりすぎると、分解にビタミンB1が使われて体内で不足し、脚気を引き起こすことがあります。
ビタミンの研究が発展途上だった昔、
脚気は多くの人が命を落とした病気です。
日清戦争で脚気病死者4,064人(戦死者364人)
日露戦争で脚気患者25万人うち脚気病死者27,800人(戦死者85,600人)と銃弾より脚気にやられて多くの命を失っていたという歴史があります。
そして、大正12年(1923)脚気死亡者26,796人(うち乳幼児11,373人)。この年をピークに、次第に死亡者は減少したとされています。
(参照:「見直せ!日本型食生活 鈴木猛夫著」)
ビタミンB1の欠乏症であるという原因が明確になった脚気は、現在では死を恐れる病気ではなくなりました。しかし、現代では再び隠れ脚気の人は増えているのではないでしょうか。
では脚気の症状をみてみましょう。
全身の倦怠感、食欲不振、足のむくみやしびれなどの症状、筋肉痛を起こしたり、集中力がなくなりイライラしたりもします。
もしや、あなたの倦怠感やイライラは
夏バテではなく、脚気の症状なのでは?
市販清涼飲料の多くには、100mlあたり10g程度とかなり多く糖質が含まれています。スポーツドリンクでも100mlに6g程度の糖分が含まれています。水代わりとして飲んでいる場合、1日に2L程度飲むと仮定すれば120〜200gもの糖分を摂ることになります。ペットボトル飲料の普及とその手軽さから、知らず知らずのうちに過剰な糖分を摂取することになり糖尿病性ケトアシドーシスの症状となる通称ペットボトル症候群を引き起こしますので注意が必要です。
ここで私はコーヒーを飲む時はブラックだから関係ないと思っていても、果物には果糖が豊富ですし
加工食品からも大量の糖を摂っています。
加工食品の裏表示を見ると、異性化糖(ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖、砂糖混合異性化液糖)、水あめ、ブドウ糖、オリゴ糖、人工甘味料など様々であらゆる加工食品に含まれていることがわかります。
夏バテ対策はもちろん、日々の食養生のためにも
JUGEMテーマ:健康
あくまでも糖単品の補給より、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素をバランスよく摂取することを優先するようにしましょう。ビタミンB1ばかりに注目しても視野狭窄で誤りです。栄養学的な点で見るより、一物全体食を意識して精製加工されたものは控えめに日常の食事をしていくようにします。
玄米でなくとも、せめて7分づき(玄米を100とするとビタミンB1は59に目減りする)にするなど米の精製度を落とすと食べやすくなるので、良い妥協点でしょう。
それでも食欲がなく、主食の「米」が食べられない人には
玄米甘酒や味噌汁が栄養補給源としてお勧めです。